八丈太鼓とは
八丈太鼓は、日本の東京都八丈島で伝統的に演奏されている和太鼓です。
自由で即興的な演奏スタイルで太鼓の左右両面で向かい合って打つスタイルが特徴で
他の和太鼓のスタイルとは異なり、決まった楽譜がなく、奏者の感性によってリズムや表現が変化します。
そのため、その都度叩くごとに違う魅力があります。
八丈太鼓の歴史ははっきりとは分かっていませんが、
江戸時代(1603 年〜1868 年)にはすでに八丈島で祝祭や宴会の際に演奏されていたと言われています。その繊細なリズミカルな演奏は、催し物を盛り上げ、島の文化の重要な一部となっており、太鼓が身近にある環境だったと思われます。
現在では、八丈島の祭りやイベントで演奏されるだけでなく、日本国内や海外の和太鼓愛好者にも親しまれ八丈太鼓が広がっていっています。
八丈太鼓節(はちじょうだいこぶし)とは?
八丈太鼓節(はちじょうだいこぶし)とは?
八丈太鼓節は、八丈島に伝わる民謡で、八丈太鼓の演奏とともに歌われることが多い楽曲です。 歌詞には、八丈島の美しい風景や、島に暮らす人々の思いが込められています。
この唄は、もともと宴会やお祝いの場で歌われていました。
八丈太鼓の即興的なリズムと組み合わさることで、より感情豊かに表現されます。
メロディーには哀愁があり、聴く人の心に深く響きます。
現在でも、八丈島の祭りや郷土芸能の舞台で披露されるほか、日本各地の伝統音楽愛好者に大切にされています。
ぜひ1度、八丈太鼓と八丈太鼓節の響きを感じ、その魅力を楽しんでください!
八丈太鼓節
太鼓叩いて~ 人様寄せてえな~ わしも会いた~い 人が~居るよ~
(太鼓をたたいて、人を集めよう。わたしも、大切な人に会いたい。)
三根倉の坂~ 坂真ん中でえな~ 出船眺め~て 袖し~ぼる~よ~
(三根倉(みつねくら)の坂——(船を見送る坂道)坂のまんなかで、船が出ていくのを見ながら、袖で涙を拭くよ。)
着いておじゃれよ~八丈が島へ~な~ 荒い風にも~ 負けや~せぬ~よ~
(八丈島に、いっしょに来てください。強い風にも負けずに、たどり着いてください。)
春山節(はるやまぶし)
春山節は、八丈島に伝わる伝統的な民謡の一つで、島の風土や生活と深く結びついた唄です。 その名の通り、春の訪れを感じさせるような美しい旋律が特徴で、島の人々によって古くから親しまれてきました。 この唄は、もともと島の桑摘み作業や祝いの席で唄われていたとされています。 歌詞には八丈島の自然や暮らし、人々の想いが込められています。
特に、春の山々の美しさや季節の移ろいを感じさせる表現が多く使われており、島の景色を思い浮かべながら聴くことができます。
現在でも、八丈島の祭りやイベント、郷土芸能の舞台などで披露される機会もありますが、
島の文化を象徴する大切な唄として唄われてきました。
八丈島を訪れた際には、ぜひ春山節の調べに耳を傾け、その唄に込められた島の歴史や人々の想いを感じてみてください。
春山節
春に なりゃこそ 木の芽 も めだつヨーオーオ 様も時節を 待つが あ~ ヨーオー
(春になれば、木の芽も目立つ。あなたも、時を待つといい)
思う 種おば 私 に させてヨ-ヨ-オオ- 忘れ草おば 先で するヨ-
(思いの種は、私にまかせておくれ。忘れ草は、先に植えておこう)
わりゃな歌うずにゃ 出て春 山でヨ-オオオヨ- 我がな心の 晴れる まア-で-
(あなたが歌わないのなら、私は春の山へ行こう。心が晴れるまで)
富士の山より 想い は 高いヨ-ヨ-オ-オ- 情けは 海よりイ-イ- 深くなる-
(あの山よりも、私の想いは高く、情けは海よりも深い)
春の 来たのを 知らず に いたらヨ-ヨーオ-オ- 鳴いて知らせたア- ウグイスが-
(春が来たのに気づかずにいたら、ウグイスが鳴いて知らせてくれた)
ショメ節
ショメ節(しょめぶし)は、日本の伊豆諸島南部に伝わる伝統的な民謡の一つです。
「ショメ」という言葉の由来には諸説がありますが、「しょめしょめ」という囃子言葉
(掛け声)が転じたものと考えられています。
1.歌詞の特徴
・即興性があり、歌い手によって歌詞を変えることができる。
・島の風景や暮らし、恋愛などを題材にした内容が多い。
・歌詞の合間に「ショメイーショメイ」と相槌が入る
2.メロディーの特徴
・シンプルながらも哀愁を帯びたメロディーが特徴的。
・節回しが独特で、歌い手ごとに違った味わいが生まれる。
3.演奏される場面
・祭りや地域のイベント
・宴会や祝いの席
・島の伝統文化を伝える場
ショメ節は、八丈島の文化や生活に根ざした貴重な民謡であり、今もさまざまな場面で歌い継がれています。
しょめ節
ヤァー沖で見たときゃ 鬼島と見たが 来て見りゃ八丈は 情け島
(遠くから八丈を見ると、険しく厳しい島に見えるが、実際に訪れると人情にあふれた温かい島である)
ヤァーこんな恋しい 八丈捨てて どこへなにしに おじゃるやら
(こんなにも愛おしい八丈島を離れて、一体どこへ行き、何をするのだろう)
ヤァー黒い髪の毛 長さは背丈 可愛いあの娘は 島育ち
(黒く長い髪を持つ美しい女性、彼女は八丈島で育った可愛い娘)
ヤァー今日はうれしや 皆さんと一座 明日もこの座が あればよい
(今日は皆さんと集まり、一緒に楽しめることが嬉しい、明日もまた、この楽しい場が続くといいな)
ヤァー来てはトントン 雨戸をたたく 心迷わす 西の風
(西風が吹くと、雨戸をトントンとたたく、その音が心を揺さぶり、迷わせる)
ヤァー糸は千たび 切れよと繋ぐ 様と切れたら 繋がれぬ
(糸は何度も切れても繋ぎ直せるが、縁は切れてしまったら、もう繋ぐことはできない)
八丈島の方言
八丈島の方言
歌詞にもちらほら出てきていましたが、八丈島には方言があり いくつか抜粋して紹介します。
・おじゃりやれ→いらっしゃい ・あばよーい→さようなら ・どうもよーい→どうもありがとう
・わい・わが→私・俺など自分の事 などがあります。